幼児知育教材づくりの理論(年中組)

「童話を書いてみたい」という人は、たくさんいます。
そのほとんどは「風船がふわふわ飛んでいきました」みたいなことを書けば、童話になると思っています。
幼児の本ほど、難しいものはないのですが……。

20代の、ライター・編集者になって3年目か4年目くらいのころ、幼児雑誌『キンダーブック』(フレーベル館)の 仕事を受けたことがあります。
幼児ものということで、簡単に考えたのが大まちがい。やれども、やれども、「何かがちがう」ということしか、わかりません。 パンチをくり出しても、あたらないボクサーのような気分で、本当につらかったです。
出版社の担当編集者さんも、困った顔をしています。
ふと見ると、参考に頂いた本の欄外に小さな字で、問題の意味を解説しているものがありました。その解説を参考に、 山のような資料を分析し、それをベースにストーリー仕立てで知育クイズ本の構成案をつくりました。
担当の編集者さんは、原稿を見てにっこり。イラストレーターは、米山永一さんということになりました。「ポンキッキーズ」のガチャピンとムックをつくった人です。

最近、私は幼児知育の仕事にかかわっていないですが、米山さんとはいろいろな仕事をしました。 夜中にFAXが来たので、「コーヒー代りにどうぞ」と心霊写真をFAXしたら、「私はもっと怖い話を知っています」なんて返事が来たりして……。

以下は、そのときの分析に手を加えたものです。
幼児向けの知育の本にかかわる方、参考にしてください。
「言葉の知育」や「数の知育」などに分類してみましたが、いろいろな要素が混じるものもあります。大まかな分類と、考えてください。

言葉や数の前段階の基礎を築く知育

大きさ比べ

2つのものを見せて、「どちらが大きいですか?」と問うクイズは、幼児向けクイズの初歩にあたります。 バリエーションには、「高い、低い」「長い、短い」があります。
これは数の観念を形成させる前段階となります。
また、「1番目に高い、2番目に高い」などと考えさせれば、数の認識につながります。

仲間はずれ

カブト虫が6匹、チョウが1匹いる中で、「ちがうもの」を問うようなクイズです。弁別・分類力を養い、 ものの差異を認識させることで、数の概念の基礎、文字の基礎をつくっていきます。
したがって、「仲間ばずれ」による学習は、数や文字を学習する前段階に行うのが適切です。

仲間あつめ

集合や法則性について、学習を深めます。「同じものは、どれ?」のような質問ですが、仲間はずれに比べると、 かなり難しいでしょう。
「このお店で売っているものは、どれ?」のような質問は、社会常識を理解させる意味合いも帯びるでしょう。 単なる仲間集めよリは、早期に学習させるのが望ましいでしょう。

言葉の知育

「あ」のつく言葉・「う」のつく言葉

「あり、いす、うし、えんぴつ」の絵を見て、「“あ”のつくのは、どれ?」などと聞く問題です。 ひらがなは表音文字ですから、言葉は音節に分解できることを教えることが ひらがな学習の基礎になります。 そして、これをもとに語彙を増やしていきます。
言葉は、母音→子音→濁音→促音・拗音の順に発展させましょう。さらに、しりとりに結びつけていきます。
なお、数と文字は幼児教育の2骨格です。平行して学習させる必要があります。

しりとり

頭音と尾音の関係を明確にします。楽しいのでどの年齢にも有効ですが、 とくに4才児は言葉が急激に増える時期なので、言葉遊びを通じて語彙を増やす手段として活用するのがよいでしょう。

2つの条件からの推理

たくさんの生きものがいて、「ハチミツをくれたのは、だれ?/それは、虫の仲間です。/縞もようがあります。」 などと問うクイズです。言葉による推理力を養います。
最初は2条件でよいですが、年長組では3つの文から推理させるとよいでしょう。
発展型としては、「2列目の右から3番目はだあれ?」のように空間認識に持っていく方法もあります。

数の知育

数の学習

数には2つの意味があります。集合数(個数を数える)と順序数(順序を数える)です。この2つの区別は意外と難しく、 関係づけることができるのは、5歳か6歳になってからです。幼稚園や保育園の年長組、もしくは小学1年生に近いですね。
点つなぎは順序数の学習ですが、かぶとむしを5匹、チョウを4匹イラストで示して、「どちらが多い?」とたずねたり、 かぶとむしを5匹、チョウを4匹、花を4つイラストで示して、「数が同じなのは、どれとどれ?」などとたずねたりすると、 集合数の学習となります。
難度は、年中組では直感でわかる程度のもの、年長組では数えなければわからないものへアップさせていきます。

点つなぎ

数字を順番につなぐと絵が浮び上がる仕掛けです。数字を順番に数えるのが、目的です。 年中組では10まで、年長組では15までが標準でしょう。年長組の知育としては、やや幼稚ですが、子どもが好きな作業なので、 やらせてもよいでしょう。

順番

点つなぎ以外にも、順序数の概念を教える方法があります。すべり台や電車ごっこなど、登場する人物や動物が 一定方向を向く仕掛けをつくっておいて、「3番目はだあれ?」などと聞く方法です。
左右の概念ではありません。左右はもっと難しいです。

図形・パターン認識

系列パターン

「たぬき→きつね→うさぎ」を繰り返し、「空いているところに入る動物は何?」などと問うクイズです。 法則性に対する推理力を養う働きがあります。法則発見のためには、数を数えることになるので、数の理解を深める意味もあります。

分割

子どもが4人に対し、ケーキを3分割、4分割、5分割で示す。あるいは、同じ4分割でも等分なものと 不公平なものを提示して、「ケーキの正しい分け方は、どれ?」と問うようなクイズです。
これは量の観念、社会常識の形成に役立ちます。

塗り絵

細かく分割した絵を示し、「●のところは赤、■のところは青、○のところは黄色で塗りましょう」というような作業をさせると、 絵が浮び上がるようなものです。これは色塗りという子どもの好きな作業を通じて、空間認識力を養います。

社会常識

まちがい探し

「まちがい」を探すといっても、社会常識的なまちがいを指摘するクイズです。
まちがい探しの目的は、一般常識を形成することです。題材は、幼児の生活と密着したもの以外は使えません。
また、大人の常識は通用しないので注意が必要です。たとえば、幼児にとって、頭になべをかぶるのは普通のことです。 空に船が飛んでいるのを、まちがいと解答させるのはOKです。

編集者の目を持つライター、hirosawa


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